事例の要約
【導入背景】
・東京と千葉県印西市を結ぶ既存のデータセンター間ネットワークで、通信容量の限界が課題となっていた。
・低遅延かつ高セキュリティな通信環境の構築が必要だった。
・東京都内の電力供給不足やスペースの制約を解消するため、印西市に新たなデータセンターを設置。
・データセンター間の接続強化が急務であった。
【課題】
・東京と千葉県印西市を結ぶデータセンター間のネットワーク容量不足
・低遅延かつ高セキュリティな通信環境の確保が必要
・電力供給力とスペースの課題を解決するデータセンター新設計画
【導入の決め手】
1.PacketLightの革新的技術
1Uサイズのコンパクトな設計で大容量通信を可能にし、厳格なOSNR(光信号対雑音比)要件をクリア。
2.高いセキュリティ性能
レイヤ1暗号化により、高度なセキュリティ環境を実現。
3.直感的な管理機能
使いやすいGUIにより、運用効率が大幅に向上する点が評価されました。
導入前の背景や課題
SNS 「mixi」、スマホゲーム「モンスターストライク」を始めとしたデジタルサービスを複数手掛け、「心もつながる」場と機会の創造をミッションに掲げる株式会社MIXI。会社を縁の下で支える「開発本部 たんぽぽ室 インフラグループ」の精鋭達。彼らがデータセンターの新設プロジェクトにおいて、「波長貸し(WDMという技術で多重化した波長の一部を貸し出す通信サービス)」という、一企業ではあまり前例の無い光伝送の手段を用いた理由と、導入したPacketLightの魅力について話を聞いた。
1.データセンターの新設とPacketLight導入の背景
さまざまなデジタルサービスを手掛ける株式会社MIXI。自社のネットワークをはじめとしたITインフラ領域という屋台骨を支えるのが「開発本部 たんぽぽ室インフラグループ」である。7名という少数精鋭チームの彼らが2023年5月に、千葉県印西市へデータセンターの新設プロジェクトを決定した。
「都内だと電気代の高騰やオンプレミスのサーバーを置くためのスペースの問題があり、課題を感じていました。そんな中、新たなデータセンターを新設する話が出ました。」と当時の状況を振り返り、MIXIの相原 一輝氏は語ります。
今回のデータセンター新設において、大容量の電力供給が重要な鍵だったという。都内では大容量の電力を供給できるようなデータセンターが無い一方で、DCIを新設した印西では充分な電力供給が期待できた。「印西エリアだと電力が余っているという情報もあり、1ラックの契約でもかなり大きな電力を供給できることから、ハイパースケーラー向けの環境を探していた私達に非常にマッチしたということも印西での新設を決めた要因のひとつです。」と同社の山田 千紗 氏は言います。
印西でのデータセンター新設に伴い、“波長貸しサービス”という他社のサービスを利用していたが、そこにマッチする伝送装置が必要となり、PacketLightの導入の検討を開始した。「波長貸しサービスで利用する伝送装置の要件として、OSNR(光信号の強度とノイズ強度の比率)という波長を伝送するための一種の閾値のようなものがあります。その要求が非常にシビアでして、充分に耐えられる伝送装置が必要でした。机上値だけではなく、実際の環境でOSNRをクリアする必要があるため、アイランドシックス社に検証から一緒にやっていただき、そこで無事に要件をクリアできたため導入に至りました。」相原氏は語ります。
また、ハードウェア的に省スペースな部分や、同社の伝送の帯域にPacketLightのスペックが丁度マッチしていたこともPacketLightの導入に至った理由のひとつだったと山田氏は語ります。「他社の製品だとオーバースペックのものもあったのですが、コスト面も含めてPacketLightがマッチしました。」
また、セキュリティ面も魅力のひとつのようだ。「L1(レイヤ1)暗号化の機能を今回使っていますが、波長貸しの業者さんもセキュリティ面を気にされるので、ここも大きかったです。また、管理画面の操作も簡単でGUIも分かりやすく設計されていると感じました。設定もしやすく、OSNRや受光値などの知りたい値情報もすぐに見ることができるので、助かります。」とPacketLightの魅力について相原氏が語ってくれた。
株式会社MIXI 開発本部 たんぽぽ室 インフラグループ 相原 一輝氏
株式会社MIXI 開発本部 たんぽぽ室 インフラグループ 山田 千紗 氏
2.前例の無い波長貸しでのDCI構築
印西へのデータセンター新設を計画した中で、伝送手段としてユースケースの少ない「波長貸し」を選択した。その理由を「多分他の事業者さんだと、キャリアさんから専用線(拠点間を1対1で物理的に接続する回線サービス)を調達するパターンがほとんどだと思いますが、弊社はどうしても300Gbpsとか、ある程度のアップリンクの容量が欲しかったため、今回は波長貸しという伝送手段を選択しました。」と相原氏は語ります。
他にも都内のデータセンターと比べて伝送距離が約3倍になるなど、前例がない挑戦には課題が多くあったようだ。これまでは芯線貸し(光ファイバーを顧客ごとに1心単位で丸ごと利用する通信サービス)の経験はあるが、波長貸しのナレッジがなかったので、本当に繋がるのか不安もあったと言う。「今までは都内のデータセンターだったので、約20kmの距離だったのですが、印西だと約3倍の60~70kmとかなりの長距離になったため、知見もない状態での挑戦でしたが、アイランドシックス社に手厚くサポートしていただいて本当に助かりました。」と山田氏は言います。
2023年5月から印西への新設に向けたプロジェクトが始動し、導入検証等を繰り返した。「導入時の検証では何度も現地に来ていただいて、即時トラブルシュートもしていただきました。前例のないケースであり、かなり難易度高く感じていたので、非常に助かりました。」と同社の江川潤 氏は話します。
その後、2024年3月に無事に導入・構築が完了した。「DCI構築完了後は、本当に繋がるかなとドキドキしながら対応していましたが問題なく稼働し、とても嬉しかったことを覚えています。」と江川氏は当時の状況を振り返ります。
PacketLight導入後、特に大きな問題もないようだ。「構築後に関しては、現段階(2024年10月)では問題は起きていません。回線が長距離になると、ちょっとした弾みでネットワークの瞬断が起きたり、そういったトラブルが増えると思いますが、今のところPacketLight経由では起きてないので非常に満足しています。」と現状について相原氏は話します。
相原氏と山田氏
株式会社MIXI 開発本部 たんぽぽ室 インフラグループ 江川 潤 氏
3.PacketLight製品の魅力
今回、前例の無い波長貸しでのDCI構築を実施する上で、伝送装置として利用したのがPacketLightだった。彼らが語るPacketLight製品の魅力とは。
1Uで既存のネットワーク容量を増強でき、モジュール式でコスト効率の高い大容量ソリューションを魅力に感じているようだ。「PacketLightの魅力の1つはコンパクトなサイズ感です。1U(ユニット)で足りるのは非常に魅力的です。100Gbps、10Gbps、25Gbpsなどが1Uで出せるのはとても嬉しいです。」と相原氏は話します。
また、セキュリティ面も魅力のひとつのようだ。「L1(レイヤ1)暗号化の機能を今回使っていますが、波長貸しの業者さんもセキュリティ面を気にされるので、ここも大きかったです。また、管理画面の操作も簡単でGUIも分かりやすく設計されていると感じました。設定もしやすく、OSNRや受光値などの知りたい値情報もすぐに見ることができるので、助かります。」とPacketLightの魅力について相原氏が語ってくれた。
4.今後の展望
今後の展望について、安定稼働を継続していくことが一番のポイントとなるが、他社には無い機能にも注目しているようだ。「今後は安定稼働をいかに継続させていくかというポイントになると思っております。加えて、PacketLightの新しいファームウェアをリリースいただきましたが、他社製品ではあまり聞かない伝送装置間の遅延測定機能が入ったので試してみたいと思っています。」と今後はモニタリング機能も充実させることで、より安定した稼働の実現を目指すと相原氏は語ります。
デジタルサービスの提供を通して、多くのユーザーに「心もつながる」場と機会の創造をし続ける株式会社MIXI。その裏側には、日々の日常で当たり前にデジタルサービスを使えるように奮励するチームが存在した。
アイランドシックスでは、豊富なPacketLight製品に関する知見を活かし、今後もお客様の課題解決のご支援を行って参ります。
※B3 Spectrumの概要は、こちらをご覧ください。
https://www.bbbackbone.co.jp/spectrum
株式会社MIXI様 プロフィール
本社 所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア36F |
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設立 | 1999年6月3日 |
従業員数 | 1,645名(連結・正社員のみ)※2024年3月末現在 |
事業内容 | ・スポーツ・ライフスタイル・デジタルエンターテインメント・投資 |
URL | https://mixi.co.jp/ |